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姫様にょっき |
2005年9月5日 |
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トランジット |
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成田へのトランジット。実はプノンペンで成田への搭乗券もすでに出ているのでここでやることはない。並んでは見たものの、おねいさんはすぐに、トランジットへ行っていいと指し示してくれた。
3ヶ月前に来たときにはなかったトランジットでの公安チェックが、1週間前に成田からプノンペンへ行く際にはできていた。今日もそれがある。以前ここはなげやりな公安がほぼなにもせずにただぼーっといて、ときどき思い出したようにパスポートを改めるふりをしているだけだった。そもそもトランジットなのだからベトナムの官憲に何を言われる筋合いがあるだろうか。アンタの国に入国する気も興味もないんだよオレらは。
無駄にここで時間がかかる。長蛇の列ができる。
ベトナム航空のおねいさんが歩いてきて、 「Fukuoka,
Fukuoka」 と声をかけている。どうやら福岡行きへの乗り継ぎが何らかの事情でタイトになっているらしい。われわれの背後でひとりを見つけたようだが、 「Boarding
pass」 と何度も言われているので振り返って見ると、客は搭乗券に似た別の紙を差し出していた。そのオヤジは 「チッ」 と舌打ちしたのちカバンに手を突っ込んで中身をスタッフに投げてよこした。恥ずかしい人生。
彼女の番が来て、公安の前に彼女が進み出る。カンボジアのパスポートをしばし改めていた若い制服の男は、鋭い口調でベトナム語を発した。 「おまえはベトナム人か」 彼女は何を言われたかわからず、振り返って泣きそうな顔で私に小声で 「エイケー」 ときく。私も突然のことに、一瞬ベトナム語で答えそうになってしまったが、そんな義理などないと思い直し、英語で 「She's
Cambodian!」 と答える。若い彼はそんな私を無視する。
姫様はこの一件で決定的にユオン嫌いになってしまったようだった。
チャチな、それでいて値段ばかりは高い喫茶店。この空港でトランジットをするなら選択肢はこれ一つしかない。共産国を絵に描いたような姿。巷の味とはまるで別物の不味いフォー。彼女が一口つけてあとは見向きもしなかった不味いスパゲッティ。店員が皿をテーブルに持ってきて彼女にベトナム語で話しかける。店員が皿を下げに来て彼女にベトナム語で話しかける。そのたびに、彼女の表情がこわばる。
「きみの顔は白くて、服はベトナム製だから、皆ベトナム人と思うのも無理はない」 そう私が言うとますます不機嫌になる姫様。
味気ない4時間が過ぎ、ようやく成田行きの飛行機の搭乗が始まった。彼女が列の長さに驚くのはお約束。飛行機に入ってから席までの歩く距離に驚くのもお約束。「おおきいねえ」と彼女が日本語を使いたくなるのも無理はない。なぜってもう機内は日本人ばかり。アナウンスにもネイティブの日本語が現れた。その日本人がとても美人で驚く。ここはもう日本なのだ。 |
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